「“話し合おう”って向き合うのではなく、まず“ゆるもうか”って。香りがあると、安心して本音が出てくることがあるんです」
そう話す田上晃子さんは、アロマを使ったケアで、がんばり続けてきた人の張りつめた心と体をゆるめるアロマセラピストだ。
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自分のケアはいつも後回しにして、誰かのために動き続ける女性たちのもとへ、田上さんは静かに訪れる。
香りは、言葉より先に届く。
これは、自身の父との突然の死別、「私じゃダメだった」と感じた子どもとの長い断絶、そして重度のアトピーに苦しんだ日々を通して、田上さん自身が身をもって知った“救われ方”だった。
慰めの言葉ではなく、答えでもなく、ただ、そっとそばにある「香り」
この体験があるからこそ、田上さんは今、がんばりすぎてしまう女性たちに「まずはゆるむ時間」を届けている。
そんな田上さんに、香りとタッチが人を支える理由と、その先に見ている未来について、お話を伺った。
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| 名称 | ヒーリングスペース 貴の香(kinoka) |
|---|---|
| 連絡先 | 090-6588-0313 |
| メール | naniwa.0510@gmail.com |
| 定休日 | 不定休 |
アロマタッチは、“がんばりすぎないため”のケア

「マッサージというよりは、タッチングですね。揉みほぐす感じではないんです」
田上さんが行うアロマタッチは、強く刺激して“効かせる”ものではない。
厳選された8本のエッセンシャルオイルを順番にやさしく塗布し、呼吸が深くなるのを待つ。
さらに、その日の状態に合わせてエッセンシャルオイルを足すこともあるのだとか。
「足がむくんでいる方にはペパーミントやレモンをブレンドしたり。その方に合わせてケアを組み立てられるんです」
実際にケアを受けた人からは、「足が軽くなった」「夜ぐっすり眠れた」「久しぶりに深く呼吸ができた」そんな声が返ってくるという。
劇的に何かが変わる、というよりも、張りつめていたものが、ふっとゆるむ。
アロマタッチはそんな小さな変化で、心と体を整え直し、毎日を自分らしく過ごせる時間へと変えてゆく。
治すのではなく、整えるという考え方

雑貨として販売されているアロマ製品の多くは、香りを楽しむことを目的に作られ、安定性やコストの面から、希釈されていたり、添加物が含まれているものも少なくない。
一方で、田上さんが使うのは、100%植物から抽出された純粋なエッセンシャルオイルだ。産地や抽出方法、品質管理が明確で、体に直接使うことを前提としている。
香りは似ていても、成分の濃度や純度がまったく異なるのだ。
だからこそ、皮膚に塗布したときの反応や、体感にも差が出るという。
アメリカでは、こうした高品質のエッセンシャルオイルが、 医療現場に取り入れられている。
ただし、田上さんはアロマを医療の代わりにしたいわけではない。
「病気やケガのときは、きちんと病院に行く。でも、日常のケアで整えられる部分は、自分で整えていけたらいいと思うんです」
アロマは不調を劇的に変えるものでもない。けれど、日々の緊張をゆるめ、心身のバランスを崩しにくくする“予防的なケア”としての役割がある。
田上さんが届けたいのは、この日々を支える“心身の土台”づくりなのだ。
「私じゃダメだった」あの時、香りがそばにあった

田上さんの言葉に説得力があるのは、彼女自身が崩れそうになったときに「香り」に救われてきたからだろう。
父の突然死。見取ることができなかった後悔。息子さんの不登校。
「息子にとって、私じゃダメな時期があったんです。会えない時期もあって…頼る人もいなくて」
母なのに、届かない。親なのに、支えられない。
人には言えない孤独は、言葉にできないほど苦しかったという。
泣き続けた夜、ふと目に入ったのがアロマのボトルだった。

「慰めてくれるわけじゃないんです。でも、何も言わずにそこにいてくれる。ガチガチに固まった殻を、少しずつゆるめてくれる感じがあったんです」
香りは答えをくれない。でも、“折れないでいられる気持ちの余白”をくれたと、続ける。
だから今、田上さんはアロマケアを通じて頑張り続けている女性に
「まず、自分で自分をいたわろう」
と、呼びかける。
「自分に余裕がないと、家族にもやさしくできないと思うんです」
誰かを支える前に、まず自分を大切にする。その順番を取り戻すことが、田上さんのケアの本質になっている。
仲間とともに未来を作りたい

「草の根活動だけど、アロマを通じて一人一人が整っていけば、医療を必要とする人が減って、医療費を削減できれば、子どもたちの未来は、もっと明るくなると思うんです」
食事、運動、日々のセルフケア。その積み重ねが土台にあって、医療がある。
つまり、アロマケアは個人の心と体を整える事にとどまらず、未来を守る力にもなると田上さんは考えている。
だからこそ、田上さんは、仲間を求める。
「ただタッチをする人じゃなくて、人の心に寄り添える人と一緒に、明かりを灯すみたいに、癒しを届けたいんです」
田上さんは“ケアの拠点”をつくる構想を描いている。
訪問ケアだけでなく、癒し手が集まり、学び合い、支え合える場所。そして、がんばりすぎてしまった人が、ふらっと立ち寄れる場所。
施術の場というより、「安心のセンター」のような存在を、この地域につくりたいと話す。
それが、田上さんが見ている“次の景色”だ。
頑張り続けている女性こそ頼ってほしい訪問ケア

香りは、特別な人のものではない。
がんばりすぎた夜に、誰にも言えない気持ちを抱えた朝に、そっと寄り添うもの。
田上さんが届けたいのは、「大丈夫」という言葉ではなく、当事者自身が大丈夫だと思えるようになる心の“余白”だ。
自分を後回しにしてきた女性が、「もう限界」と投げ出す前に、ゆるめる社会をつくる。
この小さなケアが、やがて未来を支える力になると、田上さんは信じている。
