「楽しくなくちゃ、科学じゃないんで」
そう茶目っ気たっぷりに笑うのは、大道仮説実験の講師として科学の“出前授業”を行う大矢雅彦さんである。
裏表のない明るい笑顔で子どもたちに接する大矢さんには、
「自分のおじいちゃんみたい」
「家のおじいちゃんよりよく話す」
──と、ボランティアでともに時間を過ごす子どもたちから声が寄せられる。
実は、大矢さんは岐阜市の職員として、学校現場で教鞭をとる教育者でもある。
学校の枠を飛び越え、科学の楽しさを届ける大道仮説実験を続けるのには、確かな想いがあるという。
今回は、科学が苦手な子でも思わず夢中になる“脳ミソが喜ぶ大道仮説実験”とはどんなものなのか。
科学の出前講座「大道仮説実験」について、大矢先生に詳しく話を伺った。
基本情報はクリック!
お問い合わせの際は「つたギフ見ました」と言っていただけるとスムーズです。
| 名称 | 子どもも大人も脳ミソが喜ぶ!大道仮説実験 |
|---|---|
| 事業内容 | 科学の出前講座 |
| 所在地 | 主催者が用意した希望の場所で開催 |
| お問い合わせ | 講師:大矢雅彦|大矢(ダイヤ)・モンド・雅(が)・楽多(らくた) |
| 電話番号 | 09099217926 |
| Eメール | masa53231124@gmail.com |
大道仮説実験とは、どんな講座ですか?
教科書とはちょっと違う理科の講座です。
講座では、国立教育研究所で長く研究した板倉清信が、「仮説実験授業研究会」で提唱した「授業書」を使っています。
仮説実験授業研究会では、科学の一番基本になる、ガリレオガリレイもやっていた「問題→仮説→実験→まとめ」という考え方に沿って、
子どもたちが自分の頭で考えながら、身の回りの出来事を科学的にとらえられるよう、体系を踏んで伝えています。
よくテレビや科学館で観るサイエンスショーとは違って、教育研究者によって検証し尽くされた手順を踏むので、子どもたちは楽しいだけじゃなく、科学への「理解」が深まる講座になっています。
大道仮説実験では何が身につきますか?
科学って楽しい!ってことですね。
大道仮説実験では、実際に目の前で実験をして見せるので、子どもたちがワクワクする。
ワクワクしながら、私が問いかける疑問に、
- まず自分の頭で予想してみる
- なぜそう思ったのか、理由まで考える
- 実験で確かめて、結果を見てまた考え直す
といった、科学的思考に沿って丁寧に考えていきます。
「当たった・外れた」を一緒に笑いながら、体感的にまとめていくので、子どもたちの目つきがどんどん変わっていく。
疑問にぶつかったとき、「楽しい!」があれば、疑問を解決するエネルギーになるんですよ。
大道仮説実験のプログラムを教えてください
扱うテーマはどれも「身近だけれど、よく考えると不思議なこと」です。
たとえば、
- 「〇〇〇〇ころりん」
坂道を缶詰が転がっていきます。どの缶が一番早く転がるか、みんなで予想してから実験します。 - 「もくもく」
ドライアイスから出てくる“煙”の正体を探ります。多くの人は「二酸化炭素」だと思っているのですが、実は…という話で、大人の方がのめり込むことが多いです。 - 「どっかーん!」
爆発が起こる条件を探る実験です。砂糖をあぶるところから始めて、鉄粉、アルコールへと条件を変えながら、「なぜ爆発するのか」を考えていきます。 - 「しゅぽしゅぽ」
真空をつくる実験です。実験が終わるころには、目には見えない空気の粒が、「見える」ようになります。 - 「ビリリン」
原子と電子の話をしながら、目に見えない電気を「みえみえ〜」にしていきます。プラ板に静電気を貯めたり、ライデン瓶や静電気ベルで遊びます。 - 「じょぼじょぼ」
サイフォンの原理を探る実験です。水がどうして上がっていくのか、不思議さを味わいながら考えます。 - 「バンジーチャイム」
「世界一投げやりな楽器」と呼んでいるプログラムです。落ちた音の違いから物質を当ててみます。落とす物の長さによって音の高さが変わることから、木琴の仕組みがイメージできるようになります。最後は、順番に物を落として「星に願いを」を演奏して楽しみます。
大道仮説実験はどんな流れで進みますか?
最初は「拍手の練習」からですね(笑)。
場の空気をあたためるためでもありますが、ちゃんと話を聞いて「発表した人をみんなで大事にしよう」というルールを共有する時間でもあります。
その後の流れは、
- 問題を出す
- 一人ひとりに仮説(予想)を立ててもらう
- 手を挙げてもらい、なぜそう思ったか理由を聞く
- 実験で確かめる
- 条件を変えながら、結果の違いを確かめる
- 体感的にまとめる
ここまでが「授業書」を使った講義の部分です。
そのあとに、内容の理解を促す紙芝居を挟み、最後にその日のテーマにちなんだ工作をします。
工作はお土産として持ち帰ってもらい、家に帰ってから
「今日の実験、こんなんだったよ」
と、家族との話題を広げてくれます。
どんなところから、依頼がありますか?
子ども関連のイベントが多いですね。
これまでにご依頼いただいたのでいえば、
- 子ども会など、子どものコミュニティ
- PTAの授業参観日
- ドリームシアター岐阜の季節イベント
- 岐阜市サイエンスフェスティバル
などで、開催してきました。
岐阜市科学館や瑞浪のサイエンスワールド、岐阜市のマナバンク経由でご依頼をいただくこともあります。
ありがたいことに口コミで広がって、直接ご連絡いただくことが多いですね。
なぜ、大道仮説実験を始めようと思ったのですか?
大道仮説実験の活動は 「教えるに値することを教えている」と、胸を張って言えるんです。
教員になりたての頃、学校での授業づくりが楽しく感じられなくて、「もっと子どもたちが生き生きできるやり方があるはずだ」と感じていました。
そんな中で出会ったのが、大道仮説実験授業です。
文科省の指導要領に沿った授業にプラスする形で、大道仮説実験を学校でも取り入れてみたところ、子どもたちの反応が全然違ったんです。
子どもたちの目つきが変わるんですよね。
はじめは、学校の授業の一環としてやっていたのですが、「子ども会でもやってほしい」という声がかかるようになり、少しずつ学校の外に活動の場が広がっていきました。
気づいたら、今のような規模になっていた、という感じです。
活動を通じて伝えたいことは何ですか?
「科学の道に進んでほしい」とは思っていません。
ただ、生きていくうえで、科学的な見方を一ひとつ持っているだけで、世界の見え方が少し変わる。そのきっかけを届けられたら、十分だと思っています。
この世のすべてのものは原子分子からできていて、それがどう動くかで現象が起こっています。
たとえば、自動車の排気ガスを見たときに、ただの煙ではなく「海苔巻きくん(※)」が見えるようになる。
そんなふうに、原子分子のレベルで物事の成り立ちや動きが見えるようになると、世界がぐっと面白くなります。
そんな世界を子どもたちに届けたいです。
※大道仮説実験では、子どもたちにわかりやすいように二酸化炭素の分子モデルを「海苔巻きくん」と伝えている
読者の方へ、メッセージをお願いします。
科学の楽しさの出前は、いつでも・どこへでも伺います。
お子さんと一緒に、あるいは親子三世代で、「脳ミソが大喜びする時間」をぜひ一度、体験してみてください。
誰もが楽しく、笑顔になれて、脳ミソが喜ぶ──そんな理科の時間を、これからも届けていきたいと思っています。
