「住まいが整うと、心が踊ってくるんですよ」
取材の終盤、ふとこぼれたその言葉が、今日伺ったお話を全部まとめてくれた気がした。
片づけというと、収納グッズを買ったり、見た目をきれいに整えたり。そんなイメージが強いかもしれない。
けれどファミリアが届けているのは、“部屋を片づけること”だけではない。
物を整理していく過程で、自分をねぎらい、本当気持ちに気づき、これからの人生を「自分軸」で楽しめるようになっていく。
そんな、心と人生まで豊かに整っていく整理収納アドバイザーをしている加木屋加緒里さんに、片づけの現場で起こっている多くの悩みや、リバウンドしない片づけの本質について詳しく伺った。
基本情報はクリック!
お問い合わせの際は「つたギフ見ました」と言っていただけるとスムーズです。
| 名称 | 整理収納コンサルタント ファミリア |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県瑞穂市稲里 |
| 連絡先 | TEL:090-1987-3928 FAX:058-327-8255 E-mail:Familiar.kagi@gmail.com |
| SNS | https://www.instagram.com/kaori2894 |
| 公式サイト | https://familiar-k.jimdofree.com/ |
ファミリアは片づけサポート・講座・相談に対応

ファミリアの仕事は、大きく分けると「訪問サポート」「講座」「相談」。そして、加木屋さんが長年携わっていたリフォームの相談も、少しだけ受けている。
訪問サポートでは、ただ片づけることではなく、暮らしに合った“戻る仕組み”を大切にしているという。
家族がどこにカバンを置きがちなのか、どこで物が滞りやすいのか。間取りよりも、生活の動きそのものを見ていく。
「元に戻してね」と言っても、そもそも“元”が家族みんなで共有されていなければ戻せない。
「私は、片づけるっていうよりも、一緒に“仕組みを作る”っていう感覚でやっています」
というように、片づけを「根性」や「センス」ではなく、暮らしの設計として捉えているところが印象的だった。
50〜60代の女性を中心に「これから私の人生、どうしよう」に寄り添う

依頼が多いのは、50〜60代の女性。加木屋さんと同年代の人が多く、「頼みやすい」と感じてもらえているという。
「子どもの手が離れたときに、“あれ、私これからどう生きていこう?”って、ちょっと戸惑う方が多いんです」
この言葉の通り、この世代は子育てと家庭を中心に走ってきた人が多い。
だからこそ、子どもが手を離れ、暮らしの余白が増えたときに、ふっと立ち止まってしまう。
部屋が散らかっているのは、ただの“片づけ不足”ではなく、暮らしのフェーズが変わったサインでもある。
いろんな物が残り、家族の物も混ざっていて、手放し方がわからない。この「どうしよう」は、物だけの問題ではない。
加木屋さんは片づけを通じて、「あなたはどうしたいの?」と問いかけ続ける。
こうして自分の気持ちに触れていくうちに、「私はどうしたい?」が少しずつ見えてくる。
加木屋さんが寄り添っているのは、まさに片づけを通した「これからの生き方」だった。
物を通して心も動かす“片づけ心理学”

「整理収納アドバイザーって、基本は“物”を扱う仕事なんですよね。でも私は、物を通して“心”も動かしたいと思っていて」
片づけが進まないとき、そこには必ず「心の問題」が見え隠れする。
「もらったから捨てられない」「言われたから持っている」「いつか使うかもしれない」といった、人間関係への遠慮や、過去の自分への執着などが、その一つだという。
だからこそ、加木屋さんは会話をしながら、物だけでなく“これまでの心”も整理していく。
本人が当たり前だと思っている頑張りや、積み重ねてきた時間を見つめ直し、人生の棚おろしをすることで、これからの自分に必要なものを丁寧に見極めていくのだ。
リバウンドしない片づけの本質は「整理9割、収納1割」

さまざまな雑誌のハック術を見ても、片づけといえば収納の工夫が注目されがちだ。でも、加木屋さんは「整理9割、収納1割なんですよ」とはっきり言う。
整理とは、必要・不必要を分けて決めること。そして「決める」という行為は、思った以上に心を使う。
家族の物が混ざっていたり、思い出が詰まっていたり、罪悪感が顔を出したり。ここで迷いが起きるのは、むしろ自然なことだ。
心の迷いを解決せずに、見た目だけ整えて「収納」しても、暮らしの中で「使いにくい」「戻しにくい」が残ったままで、すぐに元に戻ってしまう。
だからこそ、ファミリアのサポートは、必要・不必要を自分で決められない迷いを言葉にし、理由を解いて、心も一緒に整理する作業を一緒に進めていくのだと、加木屋さんは力強く語った。
頑張りを認め合える“ファミリア教室”

ファミリアでは、月に一度、片づけの話だけではなく、日々の小さな挑戦や悩みを持ち寄れる場をつくっている。
女性は家の中で頑張っても、「できて当たり前」にされやすく、評価されないことが多い。
「ファミリア教室では、こんだけ頑張ったんだって言ったら、“すごいね”って言い合えるんですよ」
片づけを学びたい人もいれば、まずはその場に参加したい人もいる。単発で参加する人もいれば、受講につながる人もいて、参加の仕方はさまざまだ。
「ファミリア」という“家族じゃないけど、親しみのあるつながりを作りたい”という加木屋さんの想いが、重なって見える活動の一つになっている。
ファミリアの原点は「家」よりも「中の暮らし」

加木屋さんは、家を建てたり、メンテナンスしたりといった、生活の器を整える仕事を長くしてきた。
その中で見てきたのは、「器だけでは暮らしは整わない」という現実だったという。
「長い目で見ると、器だけ整えても快適にならない家が多くて」
どんなに良い間取りでも、物が多く、片づけが追い付かなければストレスがたまる。
昔は物が少なく、なんとなく回っていたが、今は簡単に物が手に入る時代だ。
片づけは学校で習わないから、親もわからないまま「片づけなさい」と言ってしまう。
加木屋さん自身もそうだったと笑いながら、だからこそ“片づけを学べる形”で伝えたいという気持ちが、今の活動につながっていると柔らかく微笑んだ。
これからはデジタル整理や企業向けも視野に

写真、データ、クラウド、端末の乗り換え。便利になった分、管理が追いつかず不安になる人も多い。
「写真とかデータとか、どこに何があるかわからなくて不安、っていう声が多いんです」
今後は、個人だけでなく、小規模事業者や企業のデジタル整理にも広げていきたいと考えているという。
暮らしの整理と同じように、仕事の整理にも可能性がある。そんな広がりを感じさせる話だった。
住まいが整うと、心が踊ってくる

最後に、どんな人の役に立ちそうかと聞くと、「セカンドライフをこれから歩こうとしている人」と返ってきた。
片づけを通して“自分軸”を取り戻していくと、感情の輪郭がはっきりしてくる。何が好きで、何が嫌で、何に心が動くのか。
そして、その先に出てくるのが「ワクワク」だという。
「ワクワクって、自分の感情をちゃんと感じられないと出てこないんですよ」
遠足の前日のような、未来を楽しみにできる感覚。
片づけは、部屋をきれいにするためだけじゃない。
ファミリアで物を整理することは、自分のこれからを整理することでもある。
住まいが整うと、心が踊ってくる。
この言葉は、取材の締めくくりというより、これからの人生へ向けた静かな合図のように聞こえた。
