「30過ぎてからポケモンカードを始めて、資格取って、すごい多くの方と出会って繋がりましたし、本当に、こんな素晴らしい経験ができると思っていませんでした。関わっていただいたみなさんに、きっかけをくれたポケモンカードに、すごく感謝しています」
そう語るのは、ポケモンカードゲームの公認ジャッジ、イベントオーガナイザーとして、岐阜を拠点に世界へ活動の幅を広げるティーさんだ。
週末は公式大会のジャッジとして会場を駆け回り、「ひとりではここまでできなかった」と、ポケモンカードを通じて知り合ったプレイヤーや関係者と、岐阜のポケモンカードを盛り上げてきた。
多忙な日々を送りながらも「ジャッジやオーガナイザーの活動を続けたい」と語るティーさんに、その活動の原点と、ポケモンカードコミュニティへの深い想いを伺った。
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| 活動名 | ティー |
|---|---|
| 資格 | ポケモンカードゲーム:公認ジャッジ、イベントオーガナイザー |
| 活度拠点 | 岐阜県岐阜市 |
| 公式サイト | X:https://x.com/T_Anon_Pokemon2 |
ポケモンカードゲームのジャッジ・オーガナイザーとして、普段どんな活動をされていますか?
2022年の4月にポケモンカードゲームの「公認ジャッジ」という公式資格を取得して、ジャッジとして活動しています。

ポケモンカードゲームは、みなさんも良く知っているポケモンが描かれたカードを使って、2人で対戦するカードゲームです。
チャンピオンズリーグなどの国内の大きな大会や世界大会になると、みなさんがイメージする「審判」の仕事が中心になりますが、小〜中規模のシティ大会だと「大会運営そのもの」をおこないます。
会場を整えて、時間通りに進行して、トラブルがあれば対処して……という、裏方の仕事も含めて「ジャッジの仕事」になります。
世界大会のジャッジになるにはどうすればいいですか?世界大会について教えてください。
世界大会は、国内大会と「やっているゲーム」は同じなんですが、ペナルティに大きな違いがあります。
2023年に横浜で世界大会が開催されたのを機に、日本人のジャッジが採用されるようになりました。
私は、横浜からハワイ・ホノルル、アメリカ・アナハイムと、ジャッジとして稼働しています。
世界大会のジャッジの選出方法については、よく聞かれるんですが、運営側との守秘義務契約の関係でお伝え出来ないんです。ごめんなさい。
世界大会はペナルティの出し方が国内大会と違って、同じミスでもペナルティの重さの刻み方が違います。
選手とのコミュニケーションや、他のジャッジとの情報共有も英語。カードのテキストも英語なので、聞く・話す・読む英語力が求められます。
世界大会に集まるのは各国・各地域の熾烈な予選を勝ち上がったトッププレイヤーばかりですから、“世界一”のタイトルをかけた真剣勝負のピリピリした空気があります。
一方で、年に一度のお祭りでもあり、「ここまで来られたこと自体がうれしい」「せっかくだから楽しもう」という空気もすごく強いんですよ。
ジュニアの自主大会にも力を入れていらっしゃいますが、どんな想いがありますか?
ポケモンカードを楽しんで欲しい、それだけですね。

子ども向けの自主大会を始めたきっかけは、保護者の方から「同年代だけで遊べるイベントが少ない」と相談を受けたことでした。
大人との対戦が平気な子もいますが、子どもたちは同い年くらいの子と遊ぶほうが、やっぱり楽しい。
最初は小学生だけが対象でした。そこで、小学生を対象にしたイベントを企画したところ、想定以上に子供たちが集まって、「じゃぁ、今後も続けてよう」って。
最近ではお店のキャパシティの限界、80人近く集まる規模になりました。
保護者の方から、お店のジムバトルには行きたがらないのに、「ティーさんのジュニア大会だけは楽しみにしてます」という話を聞くと、「ああ、やっていて良かったな」と、この上ない喜びです。
同年代の仲間と集まって、心からポケモンカードを楽しんでほしい──ただ、それだけです。
多くのプレイヤーを見てきたジャッジの視点から『優れたプレイヤー』にはどんな共通点がありますか?
大型大会で何回もトーナメントに上がる、トップ中のトップの選手には2つ特徴があると感じています。
私自身がプレイヤーとして結果を残せていないので恐縮なんですが、
トッププレイヤーは「盤面がきれい」で「所作が美しい」方が多いです。
いわゆる「シャカパチ」のような音を立てる行為はしないです。
カードの置き方、動かし方に無駄がなく、どのポケモンにエネルギーや道具がついているかが、相手にも分かるように置かれている。
自分のターンが終わったら、手札をテーブルに置いて、相手のプレイをしっかり見る。
相手の宣言に対して小さく相槌を打って、コミュニケーションを取りながらゲームが進んでいく。
こういうプレイヤーは、対戦相手もリラックスして対戦に挑めて、良い雰囲気の中で対戦できるから、自分自身のプレイエラーが減るんですよ。
振舞いから“強者感”があふれています。
ポケモンカードゲームは運の要素も大きいので、どんなに強い選手でも、あっという間に負けてしまうシビアなゲームです。
だからこそ、勝ったときに周りの仲間がどれくらい祝福してくれるか。
それを見ると、その人が普段どんな態度でプレイしているかがよく分かります。
ジャッジをしていて難しいと感じる場面はありますか?
「プレイヤー同士の認識が食い違っている」ときは冷や汗をかきます。

「言った、いわない」「置いた、おいてない」「使った、つかってない」といったトラブルが時々あります。
慣れてきた選手ほど手順を省略し、コミュニケーションエラーが発生して、トラブルになっている印象です。
こういう時は、一度盤面を止めて、「このターンの最初に何をしましたか?」というところから、一つひとつ丁寧に聞き取っていきます。
延長は基本的に3分までです。3分を超えてしまうと、単純にプレイできる時間が減ってしまうんですよ。
それでも、選手にとっては負けられない一戦ですから、うやむやにして試合を再開させるよりは、可能な限りフェアで納得感のある形に修復して、気持ちよく再開してもらうことを大事にしています。
どうしてジャッジを始めようと思ったんですか?
カードゲームって、カードを作る会社と、遊ぶプレイヤーだけじゃなくて、「遊ぶ場所を提供してくれるお店も含めてコミュニティなんだ」と強く感じたことがきっかけです。
カードゲームとして遊び始めた頃にコロナ禍となり、ある日、“ホーム”だったカードショップへ行ったら、入口に「閉店」の張り紙が貼られていたんです。
何も知らされていなかったので、あのときの喪失感は今でも覚えています。
どれだけカードがあっても遊べないんです。
遊べる場所を守らなきゃいけないと思って、ポケモンカードの“普及活動”に興味を持つようになりました。
オーガナイザーの普及活動として、自主大会を開いて盛り上げていくには、ルールや裁定の知識が必要です。
誰かにジャッジを頼むより、自分でやった方がやりやすいと思って、オーガナイザーと併せてジャッジの資格も取りました。
この延長線上で、気づいたら今のような活動規模になっていました。
これからの活動予定をお聞かせください
今やっている活動を、体力の許す範囲で長く続けていきたいです。

正直なところ、「公認ジャッジ」「イベントオーガナイザー」として、やりたいと思っていたことは、ひと通り経験させてもらった感覚があります。
ポケモンカードがくれたご縁や経験に感謝しながら、活動を続けられたらと思っています。
もちろん、また世界大会のジャッジとして声をかけていただける機会があるなら、そのときは全力で挑戦したいです。
そして、せっかく出来上がったコミュニティの芽を育てていきたいからこそ、自分と同じような熱量や考え方をもって活動してくれる後継者のような方に出会えたらうれしいです。
これからジャッジを目指す人へ、メッセージをお願いします。
最初の一歩は不安かもしれませんが、「ポケモンカードが大好き」っていう人と、活動していけたら嬉しいです。
僕は大型大会に選手として出場したことが一度もない状態で、チャンピオンズリーグ横浜のジャッジとして参加しました。
大会本番で、大きなミスをしそうになったときに、先輩ジャッジがさりげなくフォローしてくれたんですよ。
現場では、必ず、経験豊富でポケモンカードが大好きな先輩がいて、助けてくれるから大丈夫です。
僕は「あのとき支えてもらった側だからこそ、今度は自分が支える側になりたい」と思っています。
ジャッジは、プレイヤーとは少し違った形で、ゲームイベントを盛り上げる役割もあります。
活動されている方は、20代から、50代、60代と、年齢・経歴はさまざまです。
時間や気持ちに少し余裕が出てきたタイミングで、「自分も何かできないかな」と思ったら、ぜひ一歩踏み出してほしいです。
