長良川のほとりに夜の気配が近づくころ、鵜飼を待つ時間もまた、岐阜の旅の楽しみのひとつです。
鵜飼観覧船のりばから少し足をのばせば、格子戸の町家が並ぶ川原町、金華山を望む岐阜公園、長良川を一望できる金華山周辺など、昔ながらの日本の面影に出会えるでしょう。
清流・長良川から吹く風を感じながら、古い町並みを歩き、地元で愛されてきた和菓子や鮎料理、郷土の味にふれる。
それは、観光地をめぐるだけでは味わえない、この土地の時間をゆっくり感じる体験です。
この記事では、長良川鵜飼を見に行く前後に立ち寄りたい周辺スポットと、鵜飼観覧に合わせて味わいたい周辺グルメをご紹介します。
鵜飼の夜をもっと思い出深いものにするために、少し早めに岐阜へ訪れて、長良川周辺を歩いてみませんか。
昔ながらの日本情緒が残る、川原町のまちなみ

長良川鵜飼を見に行くなら、観覧船に乗る前にぜひ歩いてほしい場所があります。
それは、鵜飼観覧船のりばもある長良橋の南側に広がる「川原町」です。
細い間口に、奥へ長く続く昔ながらの日本家屋。白木の格子が並ぶこの一帯は、かつて長良川の水運で栄えた川沿いの町。
川を行き交う舟が物を運び、商人たちが集まり、紙や材木を扱う店が軒を連ねていた時代の面影が、今も通りのあちこちに残っています。
にぎやかな観光地というより、川の流れとともに受け継がれてきた暮らしの記憶を、静かに感じられる場所です。
格子戸の家並みを眺めながら歩いていると、まるで昔の日本へ迷い込んだような気分になります。
現在の川原町では、岐阜うちわなどの伝統工芸、鮎菓子をはじめとする和菓子、長良川の鮎料理、町家を生かしたカフェやショップなども楽しめます。
鵜飼の前に少し早めに訪れて、長良川の風を感じながら、岐阜ならではの味や手しごとにふれてみる。
この時間は、夜の長良川での鵜飼体験を、この土地の歴史に入り込むような体験に変えてくれるはずです。
城下町の記憶が残る、金華山のふもとの「岐阜公園」

時間に余裕があれば、川原町から少し足をのばして、金華山のふもとに広がる「岐阜公園」へ向かってみましょう。
岐阜公園は、清流・長良川と、岐阜城を頂に抱く金華山に囲まれた、岐阜を代表する散策スポットです。
園内には、日本の戦国時代を代表する武将・織田信長が暮らした館の跡や庭園のほか、岐阜市歴史博物館もあり、かつてこの地が城下町として栄えていたことを感じられます。
日本の歴史に興味がある人はもちろん、雨の日や暑い日にも立ち寄りやすいスポットです。
また、春の桜や新緑、秋の紅葉、雪景色など、季節ごとに異なる景色を楽しめる園内には、抹茶と和菓子を気軽に楽しめる立礼茶席があります。
椅子に座って茶道を楽しめるスタイルなので、茶道がはじめての方でも、気軽に日本のお茶文化にふれられるのが魅力です。

アクセス&おすすめコース
岐阜駅から岐阜公園へ向かう場合は、JR岐阜駅の12番・13番バスのりば、または名鉄岐阜駅の4番バスのりばから、岐阜公園・長良橋方面へ向かう岐阜バスに乗車します。
「岐阜公園・岐阜城」バス停で下車すると、岐阜公園はすぐそばです。駅からの乗車時間はおよそ15分です。
岐阜公園を散策し、川原町を歩きながら夕方に鵜飼観覧船のりばへ向かえば、岐阜の自然、歴史、古い町並み、そして長良川鵜飼を一度に楽しめます。
鵜飼の舞台を一望する「金華山ロープウェー・岐阜城」

岐阜公園まで来たら、金華山ロープウェーに乗って山頂方面へ向かうのもおすすめです。
岐阜公園と金華山の山頂駅を結ぶロープウェーは、乗車時間わずか4分ほど。
短い空中散歩のあいだには、眼下に岐阜の町並みが広がり、長良川の流れや、遠くに連なる山々を見渡せます。
山頂付近には、日本の戦国時代を代表する武将の一人、織田信長が拠点とした岐阜城がそびえ、訪れる人を迎えています。
かつてこの地を治めていた信長も、長良川や城下町を見渡していたことでしょう。

岐阜城天守閣からの眺めには、岐阜に暮らす人々の生活や、この町の歴史が重なって見えるようです。
金華山ロープウェーに乗って長良川を見下ろせば、鵜飼が長良川の一角で静かに受け継がれてきた伝統にとどまらず、長良川を取り巻く自然や、町に暮らす人々の日常とともに受け継がれてきた文化なのだと感じられるはずです。
休館のご案内
岐阜城天守閣:令和8年5月19日から令和9年10月下旬予定
岐阜城資料館:令和8年4月1日から令和9年10月下旬予定
リニューアルオープンは令和9年11月予定です。
山頂駅周辺には、ぎふ金華山リス村や売店、展望レストランなどもあり、景色を楽しみながらひと休みできます。
鵜飼を深く知りたい人の寄り道スポット「長良川うかいミュージアム」
長良川鵜飼をより深く楽しみたいなら、観覧前に「長良川うかいミュージアム」へ立ち寄るのもおすすめです。
長良川うかいミュージアムでは、長良川鵜飼の歴史や、道具・所作に込められた意味をわかりやすく紹介しています。
- 鵜飼がどのように受け継がれてきたのか。
- 鵜匠と鵜がどのように関わりながら鮎を捕るのか。
- 使われる道具や装束には、どのような意味があるのか。
実際に鵜飼を見るだけでは分からない、長く受け継がれてきた背景を深く知ることができます。
目の前で行われる一つひとつの動きに意味があることがわかると、鵜飼は「ただ眺める体験」から「理解しながら味わう体験」へと変わります。
また、長良川鵜飼は毎年5月から10月にかけて行われるため、季節によっては実際の鵜飼を見られない時期があります。そんなオフシーズンでも、長良川うかいミュージアムでは展示や映像、イベントなどを通して、鵜飼の魅力にふれることができます。
雨の日や屋外観光がしづらい日にも、鵜飼文化にふれられるスポットです。
鵜匠の動き、鵜との関係、川に灯る篝火の意味。背景を知ってから見る長良川鵜飼は、きっとより印象深く、心に残る体験になるでしょう。
アクセス&おすすめコース
長良川うかいミュージアムは、鵜飼観覧船のりばから少し離れた場所にあります。徒歩では20分前後かかるため、時間に余裕をもって移動するか、タクシーを使うとよいでしょう。
岐阜駅から長良川うかいミュージアムへ向かう場合は、JR岐阜駅の11番・12番・13番バスのりば、または名鉄岐阜駅の4番バスのりばから、N系統・長良橋方面、または市内ループ左回りの岐阜バスに乗車します。
「長良橋北・鵜飼屋」バス停で下車し、そこから長良川うかいミュージアムまでは徒歩約6分です。また、路線によっては「うかいミュージアム前」バス停を利用できる場合もあります。こちらで下車した場合も、徒歩約6分で到着します。
駅からのバス乗車時間はおよそ15分です。
鵜飼観覧の前に長良川うかいミュージアムで鵜飼の歴史や文化を知り、そのあと川原町や観覧船のりば方面へ戻る流れにすると、移動にも無理がありません。
その他の鵜飼周辺で楽しむスポット
長良川周辺には、鵜飼の前後にもう少し足をのばして楽しめる場所もあります。
雨の日に過ごしやすい屋内スポットや、静かに立ち寄れる名所、鵜飼の余韻を味わえる温泉など、旅の予定に合わせて選んでみてください。
雨の日にも立ち寄りやすい、岐阜市歴史博物館

岐阜公園の中には、岐阜市の歴史や伝統工芸を紹介する「岐阜市歴史博物館」もあります。
織田信長ゆかりの岐阜城や城下町の歴史を知ることができ、鵜飼の前に立ち寄れば、この土地への理解が深まります。
屋内施設なので、雨の日や暑い日にも過ごしやすく、岐阜公園散策の途中に立ち寄りやすいスポットです。
岐阜公園から少し足をのばして、静かな岐阜大仏へ
岐阜公園から少し足をのばすと、正法寺の「岐阜大仏」にも立ち寄れます。
京都や奈良の大仏とはまた違った、静かで落ち着いた雰囲気を感じられる岐阜の名所です。
にぎやかな観光スポットをめぐるだけでなく、歴史ある寺院で少し心を落ち着けてから、夕方の長良川鵜飼へ向かうのもおすすめです。
鵜飼の余韻を楽しむなら、長良川温泉で一泊

長良川鵜飼をゆっくり楽しむなら、長良川温泉に泊まる旅もおすすめです。
長良川温泉は、清流・長良川や金華山の自然に囲まれた温泉地。鵜飼観覧船のりば周辺には旅館やホテルがあり、夜の鵜飼を見たあと、そのまま宿でくつろげるのが魅力です。
篝火が揺れる川の景色を眺めたあと、温泉で旅の疲れを癒やす。
日帰りで慌ただしく帰るのではなく、長良川のほとりで一晩過ごすことで、鵜飼の余韻までゆっくり味わえます。
昼は川原町や岐阜公園を歩き、夜は長良川鵜飼へ。
そして宿では、温泉とともに岐阜の夜を静かに楽しむ。
長良川温泉での一泊は、鵜飼を中心にした岐阜の旅を、より深く心に残るものにしてくれるはずです。
岐阜に暮らす私が、大切な人を案内するなら
岐阜に暮らし、長良川鵜飼の文化を多くの人に伝えたいという想いを持つ私が、遠方から大切な人を迎えるなら。
鵜飼を見るだけでなく、その前後の時間まで楽しんでもらうために、こんな半日コースを用意します。
半日モデルコース
午前中は名古屋・大阪・東京・空港からの移動に充てて、午後から岐阜で鵜飼を楽しむコースです。
午後:金華山のふもとに広がる岐阜公園へ

その日の気分に合わせてお茶を楽しんだり、岐阜市博物館でゆっくり過ごしたり、岐阜大仏で心を洗われたりと、公園を散策し、時間に余裕があれば金華山ロープウェーで山頂方面へ向かい、長良川や岐阜の町並みを上から眺めます。
朝から時間があり、天気にも恵まれたなら、金華山のハイキングコースで山頂の岐阜城を目指すのもおすすめです。
木々の間を抜ける風を感じながら、急がず、大切な人との会話を楽しみつつ山頂を目指す。
ロープウェーで一気に上がる景色とはまた違う、岐阜の自然を体で感じられる過ごし方です。山道を歩くため、歩きやすい靴で、時間に余裕を持って楽しんでください。
夕方:鵜飼観覧船のりば周辺にある川原町を散策

昔ながらの格子戸の町家が並ぶ川原町で、岐阜公園を歩いたあとの足を少し休めながら、これから始まる鵜飼を待つ時間を楽しみます。
古い町並みの趣や岐阜ならではの味わいにふれることで、観覧船に乗るまでのひとときも、旅の思い出に残る時間になるでしょう。
岐阜の伝統工芸品「水うちわ」を手に観覧船へ乗れば、川風に涼を感じながら、昔ながらの日本の夏を味わうひとときを過ごせます。
夜:長良川鵜飼へ
昼に山頂から眺めた長良川を、今度は船の上から楽しむことで、鵜飼の体験がより印象深いものになります。
宿泊:長良川温泉へ
鵜飼の余韻を感じながら近隣の温泉宿でくつろげば、岐阜の自然と歴史、文化をゆっくり味わう旅となるでしょう。
まとめ|鵜飼の前後まで楽しめば、岐阜の旅はもっと深くなる
長良川鵜飼は、篝火に照らされた鵜舟を眺めるだけでも、心に残る体験です。
けれど、川原町で昔ながらの町並みを歩き、岐阜公園で自然と歴史にふれ、金華山ロープウェーから長良川を見下ろす。
そして旅の締めくくりとして夜、昼に眺めたその川の上で、1,300年以上受け継がれてきた鵜飼を見る。
こうした体験を重ねることで、長良川鵜飼は単なる観光ではなく、岐阜の自然、歴史、人々の暮らしとつながる文化体験として、より深く心に残るはずです。
ゆっくり過ごしたい方は、長良川温泉に泊まり、鵜飼の余韻まで味わってみてください。
鵜飼の夜をもっと思い出深いものにするために、少し早めに岐阜へ訪れて、長良川周辺を歩いてみませんか。

